今回は、スウェーデンの首都ストックホルムにある理工系総合大学であるスウェーデン王立工科大学(英名:Royal Institute of Technology)へと留学していた工学部の和田朱音(わだ あかね)さんにインタビューしました。
王立工科大学はスウェーデン語の正式名称がKungliga Tekniska högskolanというため、しばしばKTHと呼ばれます。KTHといえば東北大学でも人気のある留学先のうちの一つですよね。理系学生はもちろんのこと、経済、経営などに興味ある学生も要チェックの大学です!
ここでは前編・後編と二回にわたって、「KTHについて」と「留学と院試について」を和田さんへそれぞれインタビューしたいと思います。それでは早速始めましょう!
目次
自己紹介
(運営):よろしくお願いします。まず、簡単に自己紹介をおねがいします!
(和田):工学部 機械知能・航空工学科 和田朱音です。
2017年8月~2018年6月の間は、スウェーデンのKTHに交換留学していました。また、大学では吹奏楽部に所属していて、ユーフォニアムを担当していました。
来春には東北大学の院に進学予定のため、宇宙工学に関する研究に勤しむ日々を送っています。

(運営):ありがとうございます。KTHに留学されたとのことですが、留学を決めたきっかけ・理由はどんなことだったんですか?
(和田):もともと、航空宇宙分野で国際的な仕事に就きたいと考えていたので、英語力や国際的なものの考え方を鍛えたいと思ったことが決めたきっかけです。
またKTHにした理由ですが、数ある留学先を調べる中で、KTHには元宇宙飛行士の教授*がいることを知って興味を持ったんですよね。彼の授業は非常に面白いという評判も聞きましたし、私もKTHに留学してその授業を受けたいと強く思うようになりました。
あとは、そのことに加えて、北欧の治安の良さも魅力的でしたね。比較的治安が良いスウェーデンなら安心して留学できると思ったのも大きいです。
*Christer Fuglesang(クリステル・フォーグレサング)氏のこと
KTHの様子
(運営):そうだったんですね。それでは、実際に留学して感じた、KTHの特色を教えてください!
(和田):とにかく留学生がたくさんいて、国際色豊かですね。
現地では院生向けの授業を取っていたこともあり、世界各国からの留学生(正規学生、交換留学生、ダブルディグリー生)が教室にあふれていました。スウェーデン人はクラスの2割くらいだったので、気を抜くとどこに留学しているのか忘れるくらいでした(笑)

ただ、授業の内容に関して言うと、宇宙工学系の授業レベルはおそらく東北大の方が上だと感じました。
現地では院生向けの授業を取っていたので学部の私には難しい内容も多かったですが、院生としてある程度の知識を持って留学していたらそれほど苦しくはなかっただろうと思います。
しかしながら、授業形式が全く異なりますし、問題へのアプローチの仕方なども違います。
KTHでは、グループでのプロジェクトワークが主で、グループ内で協力しながら与えられた課題をこなしていくようなスタイルでした。とにかく皆積極的に発言するし、教授と対等に意見交換しますし。
そういったような違った意味でのレベルの高さはとても強く感じました。
日本の大学は受け身の授業と研究のみ、という感じですが、KTHの授業は学生の主体性が強く求められ、「自分の頭で考える」ことを身につけさせるようなものが多かったように感じます。
また、その他にも、Matlab やLATEX は使えて当たり前という雰囲気には驚きました。東北大ではプログラミングでmatlabはそんなに使わないし、レポートはWordで大丈夫だったけれど、KTHでは仕様がことごとく違って結構大変でしたね…
(運営):授業スタイルなどが大きく異なっているのですね.. ちなみにどんな授業を履修されていたのでしょうか?特によかった授業などあれば教えてほしいです!!
(和田):私は留年したくなかったため留学先で単位互換する必要があったのですが、
そのために、基本的には圧縮性流体やロケット工学など、航空宇宙分野の専門科目を履修していました。
その中で、前述の元宇宙飛行士の教授による授業が一番印象に残っていて、グループでのプロジェクトワークはとてもやりがいのあるものでしたね。

友人と夜中まで大学に残って準備をしたりと大変だったのですが、今となっては良い思い出です!
授業を受けて印象に残ったこと
(運営):留学のきっかけでもあった教授の下で無事学ばれてきたのですね!色々得るものもあったのではないでしょうか?
(和田):そうですね。たくさんあった中でも特に印象の残った学びはなにかと言えば、世界での自分の立ち位置、でしょうか。
自分と同じ志をもつ人が世界にはこんなにもたくさんいて、しかも皆その夢に向かって着実に努力を積み重ねているという事実。そして、常に彼らはとてつもなく努力している。
クラスメイトには、ESA(ヨーロッパの宇宙開発機関)やNASAでインターンしてそのまま内定をもらった人や、宇宙工学系企業で研究しながら修論を書いている人など、積極的に大学外で経験を積んでいる人が当たり前にいて。
その人たちと自分を比べたときに、「日本にいるうちにやるべきことが沢山あったな」「これまでの大学3年間何してたんだろう」と落ち込むことも多々ありましたね。ただ、その事実を知れたことによる刺激はとても大きく、現在の大きなモチベーションになっています。
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前半はここまでです。
【写真】留学中の様子
和田さんの留学中の様子を写真でご覧ください。




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