留学スタート特集

電子国家エストニアから僕たちが学べること

どうも、エストニアのタリン工科大学に留学している細井響です。結構他の記事で留学のここが大変!とかここが楽しい!みたいなことは既に言及されてると思います。なので今回の記事ではエストニアという国について3ヶ月間で自分が得た見解と、それによって起こった自分の心境の変化についてわりとディープめに書いてみようと思います。

 

留学者プロフィール

名前:細井 響 (ほそい ひびき)

学部学年:経済学部4年

留学先:エストニア・タリン工科大学 (Tallinn University of Technology)

留学期間:2019年1月から1年間

 

1.すごいぞ電子国家エストニア!

あんまり変な偏見持たれると困るので前回の記事ではあまり言及してなかったんですけど、エストニアは巷で世界最先端の「電子国家」と言われています。電子国家。かっこいいよねえ電子国家。そういうの好きでしょみんな。

 

偏見を持たれると困るというのは、電子国家だからといって別にブレードランナーを彷彿させるような世界が広がっているわけではないからです。

タリンの景色
むしろジブリの世界。タリンの旧市街は「魔女の宅急便」のモデルにもなった可愛らしい街です。まぢインスタ映え。スノろー。

 

どこらへんが「電子」なのかというとその行政。エストニアでは99%の行政サービスがオンラインで済んでしまいます。税金申告などの、日本では多くの人が辟易しているような手続きを一瞬で済ませられるほか、自分の医療カルテや子供の学校での成績など、各機関が保有する情報に必要があれば簡単にアクセスすることができます。また、電子署名の活用によって法人登記のオンライン化や電子投票を実現しており、GDP2%分の行政手続き費用を削減しているようです。GDP2%だよ?すごすぎん?

 

2.日本はエストニアから学べるのか

とまあこんな感じで、この3ヶ月間くらい、エストニアのキラキラしたところを散々目の当たりにしてきたわけなんですが、ここで当然出てくるのが日本は何かエストニアから学ぶことができるのか、という疑問です。

エストニアがなぜここまで「電子国家」としての躍進に成功できたのか。諸説ありますが、その要因として「ソ連から独立した後、早急に国家基盤を再構築する必要に迫られたから必然的にそうなった」とか、「小国だからできた」みたいな話がよくされています。

 

一見すると、人口1億3千万人を有し、特に他国から国家基盤を揺るがすような侵略も受けていない日本には、エストニアを参考にできる要素はないように見えますね。現に「日本は安易にエストニアを目指すべきではない」という意見は割と多いです。小国エストニアの電子化政策を日本の政府レベルで導入するのは容易ではないでしょう。

 

はい、日本人がエストニアから学べることは何一つありません。ちゃんちゃん。お疲れ様でした。明日日本帰ります。…というのは悲しすぎますね。本当にそうなんでしょうか?

 

実は今、「国レベルでデジタル化を推し進めるのは難しそうだけど、地方単位で考えればエストニアから学べることはあるんじゃね?」という議論が各所でなされているんです。

 

エストニアに本拠地を構えるブロックチェーン技術系スタートアップのBlockhiveCEO日下光さんForbes Japan 2019年6月号で「日本ではエストニアのようにブロックチェーンで繋がる社会が実現するだろうか。」という問いに対して、

東京だと共通のUnity(団結力)を持ちにくいけれど地方に可能性を感じています。

Forbes Japan 2019年6月号より引用

と論じているほか、孫泰蔵さんは著書「ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来」で、

日本の政府がエストニアを真似するというよりも 、財政難にあえぐ地方が電子政府化する方が効率的で 、そのインパクトは大きいのだ 。

ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来より引用

と話しています。

 

というわけでちょっと視点を変えてみると、エストニアの電子化政策から僕たちが得られるヒントはまだまだあるように思えます。姿勢次第ですよね、こういうのって。

 

3.この3ヶ月を振り返って

タリン工科大学の友人
友達とタリン郊外を散策したときの写真。夕焼けがエモい。特に本文とは関係ない。

 

見えてきた留学の指針

正直なところ、最初の1ヶ月は自分がどのような留学生活を送るか、かなり模索している状況でした。ただ、ここ3ヶ月間エストニアで生活し現地の生きた情報に触れ続ける中で、これを何らかの形で日本や地元の仙台に還元したいという想いが芽生えてきました。

 

実は我らが仙台でもICT(情報通信技術)利活用方針なるものが定められてはいるようですが、未だ画期的なプロジェクトが動いているというわけではなさそうです。ただ、僕仙台めっちゃ好きなんで、その仙台で電子化が進んで生活がもっと便利になって…ってことを考えるとワクワクするんですよね。既に石川県加賀市やつくば市がIT企業と連携してブロックチェーン技術を活かした行政サービスの開発に乗り出しているのを見ると、仙台では何かできないものなのだろうかと興味が湧いてきます。

 

何はともあれ、当面の方針は日本の地方自治体やエストニアのICT政策の取り組みについて自分なりにさらにリサーチを深めるということになりそうです。なんかこれで卒論書けそうだし。

 

学んだこと

また、この3ヶ月で得たものもありました。それは物事の本質を突き詰める姿勢が重要であるという気づきです。エストニアという電子国家のロールモデルについて、日本人の間でも既に様々な議論がされていますが、そこから得られる本質的な教訓を自分たちの行動に落とし込めてるケースは未だ多くありません。マイナンバー制度がいい例でしょう。あの制度はエストニアのIDカードをモデルにして導入されたそうですが、エストニアのIDカードの決定的な強みである情報管理の透明性や利便性が反映されておらず、普及が滞っています。

 

政治・経済・社会・技術のどのような要因がエストニアの電子政府としての成功をもたらし、どのように応用を利かせればそれが日本に適応できるか。これを徹底的に考えることが求められていると感じますし、自分の今後にとってかなりいいトレーニングになるんじゃないかなあと期待しているところです。

 

最後に

僕自身、何となくエストニアに来て色々興味のあることに頭を突っ込んでいるうちに、留学中にやりたいことがはっきりしてきた感触があります。まだ漠然とではありますが。

 

僕が個人的な経験もあってエールを送りたいのは、興味はあるけど目的が定まらないから留学を決めあぐねている、という人たちです。

 

確かに金銭的にも時間的にも一定のコストがかかるので、事前に青写真をはっきりさせておくことは大切かもしれません。ただ、行動に移してみて初めて見える景色があるということも事実です。

 

ちょうどこれから交換留学の応募が始まる時期と思います。一旦応募書類はそれっぽく適当に書いといて、留学先で自分の方針を模索してみる、というのも一つの手ではないでしょうか。「応募書類を出す」というアクションを起こすだけでもかなり頭が整理されると思うので結構オススメです。ぶっちゃけ辞退も全然できますし。いろんな先生に怒られるけど。

 

最後になりますが、twitterやらブログやらでちょくちょく情報発信しているので興味がある方は是非見てみてください。

 

 

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